お正月用語・お正月にまつわる言葉を徹底解説!

意外と知らないお正月にまつわる言葉。

「そういう由来だったんだ〜」とか「そういう意味なんだ〜」がたくさんあります。

ちょっとした話のネタや豆知識として覚えておいて損はありません!

お正月用語・お正月にまつわる言葉を徹底解説します!

目次

祝い箸(いわいばし)

祝い箸とは、お祝いの席で使用されるお箸のことです。

お正月だけだなく、お食い初めや婚礼のときなどにも使われます。

祝い箸の特徴としては箸の両端がく細くなっています。

これは、一方は人が食べ、もう一方は神様が食べるために使うためと言われており、両口箸とも呼びます。

一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)

江戸時代のことわざで、初夢で見ると縁起の良いものの順です。

富士山は「不死」「無事」という意味があり、何より「日本一」という縁起が良いものです。

鷹は高い空を飛ぶことから、「自由の象徴」とされています。

鷹が2番目の理由は、(実際はもっと高い山がありますが…)富士山の次に高いとされた「愛鷹山(足高山 あしたかやま)」にかけています。

茄子は「成す」という言葉から、「財を成す」「子孫を成す」ということとかけています。

ちなみに茄子は当時、高級な食材だったため、夢に出てくるとその人の価値も上がり、実りのある一年になるとも言われました。

起源は「駒込は一富士二鷹三茄子」という川柳がもとになっていると言われています(諸説あり。)
(文京区の駒込には、富士神社と鷹匠屋敷があり、駒込茄子が名産品ということからきているみたいです。)

「一富士二鷹三茄子」には続きがあり、「四扇五煙草六座頭(しおうぎごたばころくざとう)」という言葉もあったそうです。

四扇は「しせん」とも読むこともあります。

扇は手元から先にいくに従って広がっていく形のため、「末広がり」となり、未来に向かって幸福が広がっていくことを連想させます。

煙草は、昔は現在よりももっと高価で、お祭りや宴会など特別な場でないとなかなか吸えないものでした。

また、煙草を吸うと煙が天に昇っていく様が、運気が上昇するにかけて縁起物とされました。

座頭は、盲目の剃毛した僧侶のことです。(映画「座頭市」の主人公のアレです。)

剃毛しているので「毛がない」…「ケガない」

裏白(うらじろ)

裏白はシダ植物の一種で、正月飾りに使われます。

縁起の由来としては、葉の裏が白いことから「裏を返しても白い」→「心が潔白」、「純潔な心」ということにかけられています。

また、シダ植物であることから「歯垂れる(しだれる)」→「齢垂れる」という強引な語呂合わせで長寿の意味を持たせています。

また、裏白の「白」とシダ植物からの「長寿」ということを合わせて「白髪になるまで長生きする」ということも表しています。

大正月(おおしょうがつ)

1月1日から7日までの期間を指し、新年の始まりを祝って五穀豊穣(ごこくほうじょう)や家内安全(かないあんぜん)を祈願します。

松の内とも呼ばれ、「おせち料理を食べる」「初詣に行く」「餅つきをする」「羽根つきをする」「書き初めをする」など様々な行事を行います。

似たような言葉で「小正月」がありますが、大正月が新年の始まりを祝い、五穀豊穣や家内安全を祈願するのに対して小正月「年の無事に感謝し、今後の健康や豊作を祈願する」という違いがあります。

お正月(おしょうがつ)

なぜお正月と呼ぶのかというと、「正」という字には「年の初め」「年を改める」という意味があることに由来しています。

また、秦の始皇帝・贏政(えいせい)の誕生月を「政月」と言ったことから、正月となったという説もあります。

ちなみに本来「正月」とは1月のことを言うのだそうですが、現在では一般的に、新年の祝い事をする期間としてとらえられています。

1月1日~1月3日は「三が日」といい、多くの企業や官公庁がお休みになります。

また、関東では1月1日~1月7日、関西では1月1日~1月15日までを「松の内」と呼び、この期間がお正月とされています。

大晦日(おおみそか)

旧暦で月末のことを「三十日(みそか)」と呼んだことに由来します。

旧暦では月の満ち欠けをもとに暦を決めていました。

月が出ない日を「朔(さく)」と呼び、毎月1日としました。

1日は月が立つため「ついたち」と言い、月末は月がこもるので「晦(つごもり)」もしくは「三十日(みそか)」と言いました。

その後旧暦から新暦となり、31日ある月も出てきて、「三十日(みそか)」は「月の最終日」という意味合いが強くなりました。

そのため、年の最後の12月の締めくくりには「大」をつけて「大晦日(おおみそか)」と呼ぶようになりました。

ちなみに大晦日は、その年をつかさどる「歳神様」をお迎えするための準備の日とされています。

おしらさま

出典:どんぐり共和国

東北地方で信仰されている「家の神」で、蚕や農業・馬の神様とされています。

千と千尋の神隠しにも出てきましたね。

ちなみにおしらさまの信仰には、多くのタブーがあるそうです。

2足、4足の動物の肉や卵がダメで、もし破ると大病を患ったり、たたりで顔が曲がってしまうと言い伝えられています。

また、一度拝むとずっと拝まなきゃいけなかったり、祀り方(まつりかた)が雑だと家族にたたりが起きるなど結構アレなかんじなので、最近は神社などに委託しちゃう家も多いそうです。

おせち料理

元旦や五節句などの節日を祝うために神様にお供えして食べる料理で、「御節供(おせちく)」とも呼ばれます。

平安時代の朝廷で特別な料理として用意されていたものが、江戸時代に庶民に広まり、正月にふるまわれる料理を指すようになりました。

おせち料理は「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」などで構成されており、冷めてもおいしく食べられる工夫がされています。

正月の三が日は、かまどの神様に休んでもらおうという気持ちの表れだそうです。

また、主婦を家事から解放するという意味もあり、保存が効く食材が中心のものになったといわれています。

お年玉(おとしだま)

お年玉は、お正月に家長から家族や奉公人へ分け与えられた鏡餅に由来します。

鏡餅は「歳神の生命」とされています。

新年の初めにやってきた歳神様が、鏡餅に魂を込めて正月明けに帰られることから「歳魂(としだま)」と呼ばれるようになりました。

現在のようにお金を贈るようになったのは、昭和の高度成長期がきっかけだそうです。

ぶっちゃけ家族や親戚の分も鏡餅を用意するのって大変なので、手軽に準備できるお金に変わったのも納得です。
(お餅よりもお金をもらった方が喜ばれますしね。)

自分の子供や親戚の子供にあげるのが一般的ですが、何歳まであげるという決まりはありません。

「そろそろいらないよね?」なんつって、みんなもらえなくなったと思います。

お屠蘇(おとそ)

お屠蘇とは、一年間の邪気を払い、一年の健康を願ってお正月に飲む祝い酒です。

日本酒とみりんに5~10種類の生薬を配合した「屠蘇散(とそさん)」を漬け込んだものです。

お屠蘇を飲む前に若水(わかみず)で手を清め、神棚や仏壇を拝んだ後、家族で新年の挨拶を済ませます。

元日の午前中、おせちを食べる前に飲むのが正しいとされています。

飲む順番は、年少者から年長者へと飲んでいきますが、子供にお酒はNGです。
(飲んだふりをするか、アルコールが入っていないものを作ります。)

ちなみに厄年の人は、厄年以外の人に厄を祓う力を分けてもらうために最後に飲みます。

地方などにより作法は多少異なりますが、飲むときには、「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱え流のが一般的です。

御奉射(おびしゃ)

出典:チケットぴあ

徒歩で弓を射って、その年の豊作を占う神事です。

主に1月〜2月上旬にかけて行われます。

(ちなみに馬に乗って弓を射るのは流鏑馬(やぶさめ)です。)

西日本で広く行われていますが、関東地方では弓を射ず、みんなで飲食をするだけになったところも多いそうです。

御神酒(おみき)

御神酒(おみき)は、神様にお供えする日本酒のことです。

神前にお供えしたお酒には霊が宿るとされています。

その祭礼の後に「お下がり」として振る舞われ、飲んだ人にご利益があるとされています。

神様にお供えする食事のことを「神饌(しんせん)」と言い、中でも御神酒は特別重要なものとされています。

というのも、日本酒はお米から作られますよね。

日本人にとって稲作はとても重要で、お米は神様からの恵であり、一粒一粒に神様が宿るとされてきたためです。

ちなみに御神酒には種類があり、「白酒」「黒酒」「清酒」「濁酒」の4種類をお供えするのが正式です。

しかし全部揃えるのはちょっと大変なので、最近は「清酒(日本酒)」のみをお供えすることがほとんどです。

おみくじ

「おみくじ」は神様や仏様からのお告げやメッセージとして、個人の運勢や吉凶を占うために用いられるものです。

神社や寺社によって内容が異なり、吉凶だけでなく金運や恋愛、健康など生活全般にわたって書かれています。

引いた後のおみくじは、神社に結んでも自分で持って帰ってもどちらでも構いません。

お守りとして持ち歩くのも自由です。

鏡開き(かがみびらき)

鏡開きとは、お正月に飾っていた鏡餅を下げて、それをいただく風習です。

お正月のあいだお供えしていた鏡餅には神の力が宿るとされ、鏡餅を食べてその力を授けてもらい、一年の多幸や無病息災を願います。

鏡餅は飾っているあいだに水分が抜けてカチカチになっているので、木槌などで叩いて食べやすい大きさにします。

お供えものに刃物を向けるのは縁起がよくないので刃物は使用しません

また、「割る」という言葉も縁起が悪いので「開く」と言います。

ちなみに鏡開きの日にちは地方によって異なります。

地方によって松の内が異なるためです。

東日本では1月11日、西日本では15日から20日頃に行われます。

鏡餅(かがみもち)

鏡餅は、お正月に大小二つの丸い餅を重ねて飾ったもので、年神様を引き寄せる「依り代(よりしろ)」とされています。

なぜ鏡餅というのかというと、銅の鏡に由来します。

昔の鏡は丸い形をした銅鏡で、日の光を反射して太陽のように光るので太陽の神様に見立てられ、「神様が宿るもの」と考えられていました。

伊勢神宮など多くの神社では、鏡をご神体として祀(まつ)っています。

いっぽう「餅」も稲の霊が宿ったものとされていました。

その「餅」を神様が宿る丸い鏡に見立てて、「鏡餅」と呼ぶようになったのが起源と言われています。

ちなみに2段の丸もちは「太陽」と「月」を表し、「福が重なる」「円満に年を重ねる」という意味があります。

そして鏡餅の上に乗せる「橙(だいだい)」は、「家が代々栄えるように」との語呂からきています。

もともと武家の間で行われていた習慣でしたが、縁起を大切にする商人の間で広がり一般化したと言われています。

書初め(かきぞめ)

書初めは、新年の初めに毛筆で文字を書くお正月の行事です。

書初めには、「書道の腕前を向上させる」」「新年の抱負を込める」「一年の無病息災を願う」」「五穀豊穣を祈願する」などの意味があります。

冬休みの宿題で書かされた人も多いんじゃないでしょうか?

一般的には1月2日に行われ、若水(わかみず)と呼ばれる新年初めて汲む水を使って書くのが縁起が良いとされています。

現代では、時期にこだわらず、好きなタイミングで書初を楽しむ人も増えています。

「謹賀新年」などの縁起の良い言葉や詩歌、句、干支の字を書くことが多いです。

平安時代の宮中で行われていた「吉書の奏(きっしょのそう)」が由来とされています。

吉書の奏は、元号が変わったり年始など物事があらたまった時に、天皇に文書を奏上するというものです。

初めは宮中で行われていましたが、鎌倉時代以降、庶民の間にも広まりました。

そして江戸時代には寺子屋が普及し、庶民の間にも浸透していったそうです。

神楽(かぐら)

神様にささげる歌や踊りです。

「神座(かむくら)」に神々を降ろし、巫女が舞ったり、神懸かりして人々と交流したりします。

五穀豊穣厄災除去病気平癒家内安全などを祈願する目的で行われます。

神楽の起源は古く、「古事記」や「日本書紀」に記載されている天岩戸神話(あまのいわとしんわ)にある「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」の舞いが起源とされています。

その後、神道の神事として発展し、全国各地に広まりました。

神楽は、宮中で行われる神楽である「御神楽(みかぐら)」と御神楽以外の神楽である「神楽」とに大きく2種類に分けられます。

さらに神楽は地域や神社によって様々な形態があります。

代表的な神楽としては、島根県を中心に伝承されている「石見神楽(いわみかぐら)」で、勇壮な舞が特徴です。

また同じ島根県でも出雲地方を中心に伝承されている「出雲神楽(いずもかぐら)」は、神話に基づいた物語が演じられます。

また、徳島県阿波市を中心に伝承されている「阿波おどり(あわおどり)」も華やかな踊りが特徴の神楽です。

阿波踊りって神楽なんだと初めて知りました。

賀正(がしょう)

新年を祝う言葉で、年賀状や新年の挨拶などに用いられます。

「賀(が)」には喜び祝うという意味があり、「正(せい)」には正しい、まっすぐという意味があります。

年賀状や新年の挨拶の冒頭に書くことが多く、目下の人に対して用いるのが一般的です。

目上の人に対しては、「謹賀新年」などの敬意を表した言葉を用いるのがマナーなので要注意です。

賀正と似た言葉には、「謹賀新年(きんがしんねん)」「迎春(げいしゅん)」「頌春(しょうしゅん)」があります。

意味は以下の通り

  • 謹賀新年:新年の訪れを謹んでお祝いするという意味
  • 迎春:春を迎えたことを喜ぶという意味
  • 頌春:春の訪れを称えるという意味

門松

門松は、お正月に家の門前などに立てられる松や竹を用いたお正月の飾りです。

古くは、木の梢に神が宿ると考えられていたことから、門松は「年神を家に迎え入れるための依り代」という意味合いがありました。

もともと松などの常緑樹を飾っていましたが、鎌倉時代以後に竹も一緒に飾るようになったそうです。

竹の先端部の形状は、斜めに切った「そぎ」と、真横に切った「寸胴(ずんどう)」の2種類があります。

門松には「年神を迎えるための目印」「家の邪気を払う」「五穀豊穣を祈願する」という3つの意味があります。

飾りは、の3種類を使うことが多いです。

それぞれに意味があり、松は不老長寿の象徴、竹はまっすぐ成長することから、清廉潔白の象徴、梅は早春に咲く花ことから、春の訪れの象徴とされています。

飾る時期は12月28日頃から飾るのが一般的です。

1月15日まで飾っておくことが多いですが、地域によって松の内まで飾っておくところもあります

どんど焼きと呼ばれるどんちゃん祭りに持ち寄って燃やしてもらうことが多いですが、地域によっては川に流すところもあります。

神垂(かみしで)

神垂は、神道において注連縄(しめなわ)玉串(たまぐし)祓串(はらいぐし)御幣(ごへい)などに垂らす、特殊な断ち方をして折った紙です。

あのギザギザのやつです。

神垂には、様々な種類があり、代表的なものは以下の4つです。

  • 大麻(おおぬさ):神事に用いる榊(さかき)の枝に垂らす神垂です。
  • 紙垂:紙で作った神垂です。
  • 木綿垂:木綿で作った神垂です。
  • 麻垂:麻で作った神垂です。

神垂には、「神様を表す」「神様の依り代となる」「清浄を象徴する」という3つの意味があります。

神垂の使い方としては、神域を区切るために張る縄に垂らす「注連縄」、神前に供える榊の枝に垂らす「玉串」、罪穢れを祓うために使う串に垂らす「祓串」、神様への祈りを込めたものに垂らす「御幣」があります。

かるた

かるたは、遊戯や博打に使用される札のことです。

ポルトガル語の「carta」は札を意味し、これが語源とされています。

室町時代に伝わった当初のカルタは、現代でいうトランプのようなものだったそうです。

かるたにはいろいろな種類があり、代表的なものは以下となります。

  • 花札:48枚の札で構成されており、絵札と数字札があります。
  • 歌がるた:小倉百人一首の和歌が書かれた100枚の札で構成されています。
  • いろはかるた:いろは歌が書かれた48枚の札で構成されています。
  • 絵札カルタ:動物や風景などの絵が描かれた札で構成されています。
  • 坊主めくり:坊主の絵が描かれた札で構成されており、裏面が赤と黒になっています。

ちなみにかるたは、日本だけでなく世界中で楽しまれています。

日本では、百人一首かるたが特に人気で、毎年全国大会が行われています。

元日(がんじつ)

1月1日を指す言葉です。

グレゴリオ暦では1月1日、日本の改暦前、太陰太陽暦では旧暦の正月一日となります。

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元旦(がんたん)

元日(1月1日)の午前中を指す言葉です。

「旦」という漢字は、太陽の意味である「日」と、地平線を象徴する「一」によって成り立っているため、「初日の出が昇った朝から午前中までの間」を意味すると解釈されます。

小正月(こしょうがつ)

1月15日に行われる、新年を祝う行事です。

大正月(おおしょうがつ)に対して、小正月(こしょうがつ)と呼ばれています。

小正月の起源は、旧暦の1月15日が満月であったことに由来します。

小正月には、様々な行事が行われます。代表的な行事は以下の通りです。

  • どんど焼き:正月飾りなどを燃やし、無病息災を祈願する行事。
  • 繭玉飾り:繭玉と呼ばれる繭の形をした飾り物で、豊作を祈願する。
  • 小正月料理:小豆粥や七草粥など、縁起の良い食べ物を食べる。
  • 正月遊び:かるた、凧揚げ、コマ回しなど、正月ならではの遊びを楽しむ。

また、小正月に行われる行事には地域差があります。

どんど焼きが盛んに行われる東北地方、小正月料理を食べるのが一般的な関東地方、小正月遊びを楽しむのが一般的な関西地方など地域によって様々です。

大正月が新年の始まりを祝い、五穀豊穣や家内安全を祈願するのに対して小正月は年の無事に感謝し、今後の健康や豊作を祈願するという違いがあります。

こま回し(こままわし)

「こま回し」は、日本では古くから親しまれている遊びです。

江戸時代には、曲独楽(きょくごま)と呼ばれる複数のこまを同時に回したり、こまに乗って様々な技を繰り広げる華麗な芸を専門とする芸人もいました。

ご来光(ごらいこう)

「ご来光(ごらいこう)」は、主に高い山で日の出を迎えることを指します。

「御来迎」と書かれることもあります。

御来光は、古くから山岳信仰と結びついていて、山伏たちは山頂で日の出を拝むことで神仏の御加護を得ようとしました。

江戸時代になると、御来光は一般の人々にも広まり、特に富士登山においてはとても重要なものとなりました。

登山者は、日の出前に山頂を目指し、御来光を拝むことで、富士山の神霊に感謝し、登山成功を祈願したのです。

現在は登山以外にも、キャンプやハイキングなどで御来光を楽しむ人も増えています。

また、初日の出をご来光と呼ぶこともありますが、実際は元日以外でもご来光です。

三が日

1月1日~1月3日の3日間を「三が日」と呼びます。

新年を祝う期間として学校や会社がお休みとなります。

家族が集まっておせち料理やお雑煮などを食べたり、初詣に行ったり、テレビを見たりして多くの人々がゆっくりと過ごします。

獅子舞(ししまい)

「獅子舞(ししまい)」は、東アジアおよび東南アジアでみられる伝統芸能の一つです。

頭に獅子頭を付けて衣装を身にまとい、祭囃子(まつりばやし)にあわせて獅子が舞い踊ります。

日本における獅子舞は、奈良時代に中国から伝わったとされています。

日本の獅子舞は、大きく分けて2種類に分類されます。

  • 神楽系獅子舞:神楽と結びついた獅子舞で、神社の祭礼などで舞われることが多い。
  • 民間系獅子舞:民俗芸能として伝承されてきた獅子舞で、地域の風習や信仰に基づいて舞われることが多い。

獅子舞は、古くから魔除けや招福の力があると信じられてきました。

また、五穀豊穣や子孫繁栄などの願いを込めた踊りでもあります。

七福神(しちふくじん)

「七福神(しちふくじん)」は、日本で信仰されている七柱の神の総称です。

福徳をもたらす神様として、古くから庶民信仰を集めてきました。

七福神信仰の起源は、室町時代後期にまで遡ります。

当時、中国から伝わった様々な神々が融合し、七つの神々に整理されたと考えられています。

七福神は以下

  • 恵比寿天(えびすてん):商売繁盛、五穀豊穣の神様。
  • 大黒天(だいこくてん):財福、縁結びの神様。
  • 毘沙門天(びしゃもんてん):勝負運、開運の神様。
  • 弁財天(べんざいてん):芸術、音楽、学問の神様。
  • 布袋尊(ほていそん):平和、豊作、無病息災の神様。
  • 福禄寿(ふくろくじゅ):長寿、幸福、知恵の神様。
  • 寿老人(じゅろうじん):長寿、不老不死の神様。

七福神信仰は、江戸時代に入ってから特に盛んになりました。

庶民の間では、七福神を祀った七福神堂が各地に建てられ、参拝者が絶えませんでした。

四方拝(しほうはい)

「四方拝(しほうはい)」は、毎年1月1日の早朝、宮中の庭で天皇陛下が行う神事のことです。
(四方拝の様子は、一般には公開されていません。)

皇室と日本の神々との繋がりを表す重要な儀式で、皇室にとって最も重要な儀式の一つとされています。

天照大神をはじめとする天地四方の神々に新年の平安と五穀豊穣を祈願します。

四方拝は飛鳥時代に始まったとされており、皇太子殿下、皇族方、宮内庁長官なども出席します。

当時は天皇陛下が実際に四方の神々を巡拝していましたが、平安時代以降は宮中の庭で行われるようになりました。

天皇陛下は、白麻上下の狩衣(かりぎぬ)と呼ばれる装束を着用し夜明け前の寒風の中、厳粛な雰囲気の中で行われます。

国民の安泰と五穀豊穣を祈願するだけでなく、皇室の繁栄を願う儀式でもあります。

また、天皇陛下が天地四方の神々に感謝の気持ちを捧げるという意味もあります。

しめ飾り

しめ飾り(しめかざり)は、神域と俗界を区別するために設けられる注連縄(しめなわ)に、縁起物などを飾り付けたものです。

しめ飾りは、主に以下の意味を持ちます。

  • 神域の標示: しめ縄は、神様が降りる神聖な場所であることを示すものです。
  • 魔除け: しめ飾りに飾られた縁起物は、災厄や邪気を祓い除けるとされています。
  • 豊作祈願: しめ飾りに飾られた橙(みかん)や裏白(うらじろ)などは、五穀豊穣を祈願するものです。
  • 新年の飾り: しめ飾りは、正月の門飾りとして飾られることも多く、新年の訪れを祝う意味もあります。

しめ飾りには、様々な種類があります。代表的なものは以下。

  • 輪飾り: しめ縄を輪っか状にしたもので、最もシンプルなしめ飾りです。
  • 玉飾り: しめ縄に玉串や橙、裏白などを飾り付けたものです。
  • 注連飾り: しめ縄を垂らし、その下に七五三縄と呼ばれる縄を垂らしたもの。
  • 御幣飾り: 御幣と呼ばれる木の幣帛を飾り付けたものです。

しめ飾りは、一般的に以下の場所に飾られます。

  • 玄関: 家の入り口に飾り、不浄なものが入らないようにする。
  • 神棚: 神棚に飾り、神様への敬意を表す。
  • 台所: 台所に飾り、竈の神様への供物とする。
  • 井戸: 井戸に飾り、水の神様への供物とする。

飾る向きは、地域によって異なりますが、一般的には神棚や玄関に向かって左側に飾ります。

12月28日頃から飾り始め、1月15日頃まで飾ります。地域によっては、1月4日まで飾るところもあります。

正月魚(しょうがつうお)

**正月魚(しょうがつうお)**は、正月に食べる縁起の良い魚料理のことを指します。地域によって様々な魚が正月魚として食べられますが、代表的なものは以下の通りです。

鮭(さけ):鮭は、古くから「遡る(さかのぼる)」という言葉に「若返る」という意味が込められていることから、縁起の良い魚として正月に食べられてきました。また、赤い身の色が祝い事にふさわしいとされています。

鰤(ぶり):鰤は、出世魚と呼ばれるように、成長とともに名前が変わっていくことから、縁起の良い魚として正月に食べられてきました。また、脂が乗っていて美味しいことから、冬の寒い時期にぴったりの魚です。

鯛(たい):鯛は、「めでたい」という言葉に通じることから、縁起の良い魚として正月に食べられてきました。また、赤い身の色が祝い事にふさわしいとされています。

数の子(かずのこ):数の子は、ニシンの卵巣を塩漬けにしたものです。「子孫繁栄」を願って正月に食べられています。

田作り(たづくり):田作りは、カタクチイワシの稚魚を甘辛く煮付けたものです。「五穀豊穣」を願って正月に食べられています。

正月魚は、様々な調理法で食べることができます。代表的な調理法をいくつかご紹介します。

  • 塩焼き: 塩焼きは、正月魚の最もシンプルな調理法です。素材の味を楽しむことができます。
  • 煮付け: 煮付けは、正月魚の定番の調理法です。味が染み込み、ご飯によく合います。
  • 刺身: 刺身は、新鮮な正月魚を味わうことができる調理法です。
  • 寿司: 寿司は、正月のお祝い料理として定番です。
  • : 鍋は、家族みんなで楽しめる正月料理です。

正月花(しょうがつばな)

「正月花(しょうがつばな)」は、正月に飾る縁起の良い花のことを指します。

松、竹、梅の「歳寒三友」をはじめ、以下のような花がよく用いられます。

: 不老長寿の象徴

: 節操と成長の象徴

: 早春に咲くことから、出世や開運の象徴

: 邪気を祓うとされ、不老不死の薬とされてきた

胡蝶蘭: 華やかで縁起が良い

千両: 千両万両に通じることから、金運アップの象徴

万両: 千両万両に通じることから、金運アップの象徴

葉牡丹: 牡丹の花に似ていることから、富貴繁栄の象徴

金柑: 金運アップの象徴

除夜の鐘(じょやのかね)

大晦日の夜から1月1日にかけて、お寺の鐘を鳴らすことを言います。

大晦日は「除夜」とも呼び、23時頃から0時をまたいで1時頃まで行われます。

この鐘は正式には「梵鐘(ぼんしょう)」と言い、人々の苦しみや悩みを断ち切る効果があるとされています。

108回鐘を突く理由は、諸説あります

  • 108つの煩悩を払うという説
  • 月の数の12と、1年を24の季節に分ける二十四節気(にじゅうしせっき)の24、1年を72の季節に分ける七十二候(しちじゅうにこう)の72を足した108という説
  • 四苦(4×9)+八苦(8×9)で36+72=108となり、四苦八苦を取り払うために除夜の鐘をつくという説

まぁどれも正解な気もしますが、「108つの煩悩を払う説」が広く知られていて、一般的かなと思います。

すごろく

「すごろく(双六、槊)」は、サイコロを振って、出た目に従って升目にある駒を進めて上がりに近づける盤上遊戯(ボードゲーム)です。

すごろくには、二人で対戦する盤双六(ばんすごろく)と複数人が競争して上がりを目指す絵双六(えすごろく)の2種類があります。

盤双六(ばんすごろく):白と黒の駒を各15ずつ並べ、筒にいれた2個のさいころの目によって駒を進め、早く相手の陣地に並べたほうが勝ち。

絵双六(えすごろく):江戸時代には盤双六と絵双六が共にすごろくと呼ばれていたため、混乱が生じた。盤双六は幕末期に廃れ、現在では、双六と言えばほぼ確実に絵双六を指す。

すごろくは、古代インドで発祥したと考えられています。

その後、中国に伝来し、奈良時代に日本に伝わりました。

江戸時代には庶民の間で広く楽しまれ、様々な種類のすごろくが作られました。

現代でも、すごろくは子供から大人まで楽しめる人気のゲームです。

ボードゲームとして販売されているだけでなく、テレビゲームやスマートフォンアプリでも遊ぶことができます。

すすはらい

「煤払い(すすはらい)」は、年末に行われる日本の年中行事です。

家の内外を掃除し、煤(すす)や埃(ほこり)を取り除くことで、新年を迎える準備をします。

煤払いの起源は古く、平安時代にはすでに存在していたと考えられています。

当時は、神道や仏教の信仰に基づき、年末に神棚や仏壇を掃除する習慣がありました。

江戸時代になると、庶民の間でも煤払いが広く行われるようになり、大掃除の意味合いも加わりました。

煤払いの時期は、地域によって異なりますが、一般的には12月13日または12月28日に行われます。

12月13日は「事始め」と呼ばれる日であり、新しいことを始めるのに吉とされる日です。

12月28日は「煤納め」と呼ばれる日であり、旧年中に溜まった煤を払い清める日です。

成人式

「成人式(せいじんしき)」は、年度内に成人となる人々を、主に1月第2月曜日(成人の日)に激励・祝福する行事です。

各地方自治体が主催し、講演会を開いたり、記念品を贈ったりします。

(成人の日以外に主催する自治体も存在します。)

起源は1946年(昭和21年)に埼玉県蕨市で行われた「青年祭」です。

戦後の焼け野原から立ち上がり、新しい時代を担う若者たちを激励・祝福することを目的としました。

現代でも成人式は、大人としての自覚を促し、社会への貢献を呼びかける重要な行事とされています。

雑煮(ぞうに)

雑煮は、餅を主具とし、醤油や味噌などで味付けをしたおつゆをはった日本料理です。

正月に多く食べられ、地域や家庭によって違いがあります。

雑煮の起源は古く、平安時代には宮中で正月に食されていたとされています。

当時は「雑煮餅」と呼ばれ、餅と野菜などを煮込んだシンプルな料理でした。

江戸時代になると、庶民の間にも広まり、地域ごとに様々なバリエーションが生まれました。

橙(だいだい)

「橙(だいだい)」は、ミカン科ミカン属の常緑小高木、およびその果実です。

インド、ヒマラヤが原産で、中国を経て日本に伝来しました。

橙は、食用としてはあまり用いられず、主に観賞用に栽培されています。

橙の果皮は、漢方薬として使われたり、マーマレードやリキュールなどの加工品に用いられます。

また、縁起の良い果物とされ、正月の注連飾りや鏡餅に乗せられます。

凧上げ(たこあげ)

「凧揚げ(たこあげ)」は、糸で牽引して揚力を起こし、空中に飛揚させる物です。

木や竹などの骨組みに紙、布、ビニールなどを張って、紐で反りや形を整えて作られます。

世界各地にありますが、日本では正月の遊びとして知られ、古語あるいは地方名で紙鳶、ハタ、いかなどとも言割れます。

凧の起源は古く、紀元前5世紀頃に中国で生まれたと考えられています。

その後、朝鮮半島を経て、日本に伝来しました。日本では、江戸時代に庶民の間で広く楽しまれるようになり、様々な種類の凧が作られました。

揚げ凧: 空高く揚げることを目的とした凧です。代表的な揚げ凧として、江戸凧、五平凧、三角凧などがあります。

合戦凧: 他の凧と空中で戦わせることを目的とした凧です。糸に刃物や研ぎ砂を付けて、相手の凧を切断するなどして戦います。

絵凧: 美しい絵柄を描いた凧です。鑑賞用として楽しまれます。

曳き凧: 地面から糸を引いて曳く凧です。主に子供たちが遊びます

歳神(としがみ)

出典:黒岩春日神社

「歳神(としがみ)」は、日本の神道における神様です。

一般的には、新年の始まりに各家々を訪れ、その年の豊作や家内安全をもたらすとされています。

地域によって様々な別名で呼ばれています。

代表的な別名として、以下のようなものがあります。

  • 年神様(としがみさま): 最も一般的な呼び名です。
  • 正月様(しょうがつさま): 正月を迎える神様という意味で呼ばれます。
  • 恵方神(えほうしん): その年の恵方(吉方位)に祀られる神様という意味で呼ばれます。
  • 大年神(おおとしのかみ): 年の始めに訪れる大きな神様という意味で呼ばれます。
  • 年殿(としどの): 年の主という意味で呼ばれます。
  • トシドン: 地方によっては、このように呼ばれることもあります。
  • 年爺さん(としじいさん): 年配の男性の神様という意味で呼ばれます。
  • 若年さん(わかとしさん): 若い男性の神様という意味で呼ばれます。

歳神の役割は、主に以下の3つと考えられています。

  • 豊作をもたらす: 田の神としての役割を果たし、その年の農作物の豊作をもたらすとされています。
  • 家内安全を守る: 家の神としての役割を果たし、その家の人々の健康や安全を守るとされています。
  • 幸福をもたらす: 福の神としての役割を果たし、その家の人々に幸福をもたらすとされています。

歳神を迎えるためには、以下の準備をする必要があります。

  • 大掃除をする: 家の中を掃除し、歳神を迎える準備をします。
  • 神棚を清める: 神棚を掃除し、新しい神具を用意します。
  • 鏡餅を供える: 鏡餅を供え、歳神への感謝の気持ちを伝えます。
  • 門松を飾る: 門松を飾り、歳神を迎える目印にします。

歳神を迎える際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 歳神様への感謝の気持ちを忘れずに: 歳神様は、その年の豊作や家内安全をもたらしてくれる神様です。歳神様への感謝の気持ちを忘れずに、お迎えしましょう。
  • 清浄な気持ちで: 歳神様は、清浄な場所を好むとされています。歳神様を迎える際には、清浄な気持ちで準備しましょう。
  • 慎ましい態度で: 歳神様は、慎ましい態度で接すると喜ばれるとされています。歳神様を迎える際には、慎ましい態度で接しましょう。

年越しそば

年越しそば(としこしそば)は、大晦日(12月31日)に縁起を担いで食べる蕎麦です。

起源は諸説ありますが、江戸時代初期には定着していたと考えられています。

当時は「晦日そば」と呼ばれ、大晦日の夜の祝膳の一つでした。

年越しそばを食べられる理由はいくつかありますが、主な説は次の3つです。

  • そばが細く長いことから、寿命を延ばし、家運を伸ばすという願いを込めた説
  • そばが切れやすいことから、一年の苦労や厄災をさっぱり断ち切って新年を迎えるという説
  • そばは「そば打ち」のように「そば粉を打つ」に通じることから、金運を招くという説

地域によって呼び方や具材などが異なります。

  • 呼び方: 大晦日そば、大年そば、年取りそば、年切りそば、縁切りそば、寿命そば、運そば、福そば、思案そばなど
  • 具材: 薬味ネギ、鰹節、天かす、海苔、目玉焼き、温泉卵、かき揚げなど

どんと焼き

どんど焼きは、小正月(1月15日)に行われる火祭り行事です。

地域によって呼び方や内容は異なりますが、正月飾りを燃やして年神様をお見送りし、五穀豊穣や無病息災を祈るという意味合いがあります。

起源は古く、平安時代の左義長(さぎちょう)という宮中行事にまで遡るとされています。

当時は、正月15日の夜に正月飾りや御札などを炊き上げるものでした。

その後、民間にも広まり、地域ごとに様々なバリエーションが生まれました。

どんど焼きでは、正月飾り書き初めお守りなどを燃やすのが一般的です。

地域によっては、だるまやお祝いで贈られた熨斗(のし)袋なども燃やすところがあります。

正月飾りを燃やすことで、年神様を家に招いた際の目印となっていた松飾りやしめ縄などを処分し、年神様をお見送りします。

また、燃やした炎の煙が五穀豊穣や無病息災をもたらすとされています。

七草粥

七草粥(ななくさかゆ)は、1月7日の人日(じんじつ)の節句の朝に食べる 日本の行事食です。

起源は古く、奈良時代にはすでに食べられていたと考えられています。

当時は「若菜粥(わかさいかゆ)」と呼ばれ、春の七草を摘んで入れたお粥を食べることで、邪気を払い、無病息災を祈るという意味合いがありました。

その後、江戸時代になると、七草粥は庶民の間にも広まり、正月三が日を過ぎた頃に胃腸を休めるために食べるようになりました。

七草粥には、以下の意味があるとされています。

  • 春の七草の力を取り入れる: 春の七草は、ビタミンミネラルが豊富で、新年の健康を回復するのに効果的です。
  • 邪気を払う: 七草粥の緑色は、邪気を払う力があるとされています。
  • 無病息災を祈る: 七草粥を食べることで、一年の無病息災を祈ることができます。

春の七草は、せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろです。

年始詣り(ねんしまいり)

年始詣り(初詣)とは、新年が始まる際に神社やお寺に参拝し、新年の幸せを祈願したり、旧年の感謝を伝えたりする儀式です。

個人や家族、親族で行うほか、会社や組織で行うこともあります。

初詣の由来は、古くから伝わる年籠りという習慣が変化したもので、大晦日の夜に参る「除夜詣(じょやもうで)」や元旦に参る「元日詣(がんじつもうで)」が原型とされています。

また、もともとは居住地域の氏神様が祀られる社寺や新年の恵方にある社寺を参拝する「恵方参り(えほうまいり)」が習わしでしたが、時代とともに名のある社寺を自由に選んで参拝するスタイルに変遷していきました。

初詣という言葉が使われ始めたのは大正時代で、歴史は浅いと言われています。

初詣は、年神さまがいる「松の内」の間に行くのが一般的です。

年賀(ねんが)

お年賀は、旧年中にお世話になった方への感謝今年もお付き合いよろしくお願いしますという気持ちを込めて贈るものです。

目下の方から目上の方へ贈るのが一般的です。

お年賀は、1月2日から松の内までに渡すのが一般的です。

(松の内は地域によって異なります。)

年賀状(ねんがじょう)

年賀状(ねんがじょう)とは、新年を祝う挨拶状のことで、一般的には郵便はがきやカードが用いられます

新年を祝う言葉をもって挨拶し、旧年中の厚誼の感謝と新しい年に変わらぬ厚情を依願する気持ちを、親しい相手への場合などには近況を添えることがあります。

日本では20世紀以降、新年1月1日(正月)に届くよう送られることが多いです。

年賀状の起源は古く、平安時代の貴族、藤原明衡がまとめた手紙の文例集の中に、年始の挨拶の文例があり、これが残っている最も古いものです。

この頃お世話になった方や親族に新年の挨拶をして回る「年始回り」という習慣が広まりました。

 しかし交際の範囲が広がってゆくにつれ、遠く離れてしまいご挨拶を行えない遠方の人には年始回りの代わりとして、新年への思いを込めて賀状を書いて送りました。

裸胴上げ(はだかどうあげ)

出典:糸魚川観光ガイド

裸胴上げとは、新潟県糸魚川市能生地域にある藤崎観音堂で行われる小正月行事です。

毎年1月17日に行われ、江戸時代初期に始まったとされています。

身を清め六尺のふんどしを締めた裸の若衆が、参拝者の中から厄年の人をつかまえて「サッシャゲ(差し上げ)」のかけ声とともに堂内を歩き、天井に向かって放り上げます。

天井板を破るほどの勢いで放り上げられることもあり、熱気と歓声が沸きあがります。

胴上げによって参詣者の厄を落とし、無病息災を祈ります。

裸詣り(はだかまいり)

出典:柳津観光協会

裸詣り(はだかまいり)とは、各地で行われている奇祭や寺行事の一種で、裸になって行われるのが特徴です。

裸詣りの代表例としては、次のようなものがあります。

・青島神社 裸まいり(宮崎市)
成人の日に神社の前の海に入りみそぎを行い、身を清めて青島神社にお参りします。男性は白足袋とふんどし姿、女性は白装束で真冬の海に入り、参拝後にもう一度海に浸かりみそぎを行います。
・七日堂裸詣り(会津やないづ)
毎年1月7日の夜、福満虚空蔵菩薩を祀る圓蔵寺の寺行事として行われます。大鐘の音が鳴ると、褌姿の男衆が極寒の中、113段の石段を駆け上がり、菊光堂(本堂)を目指します。菊光堂に至ると、男衆は、大鰐口(おおわにぐち/金鼓)から垂れる頑丈な麻縄をよじのぼっていきます。一般客の参加も可能で、着替えの場所も用意されています。
・はだか祭(愛知県の国府宮)
42歳と25歳の厄年の男を中心に、尾張一円から、サラシのふんどしと白足袋をつけただけの数千の裸男が集まります。裸男たちは、信者たちから託された祈念を込めた布を結びつけた「なおい笹」を捧げて身代わりとしてかつぎ込み厄除けを祈願します。

二十日正月(はつかしょうがつ)

「二十日正月(はつかしょうがつ)とは1月20日を指す暦で、正月の祝い納めの日とされています。

昔は全国的に二十日正月を正月の締めくくりとしていましたが、江戸時代に三大将軍徳川家光が亡くなったため、月命日となる20日は忌(い)む日となりました。

関東地方では正月飾りを飾る期間「松の内」を正月七日(1月7日)、鏡開きを1月11日に早めたものの、関西地方では昔の習わしのまま二十日正月を正月の祝い納めとする地域が今も多くあります

地域によって異なりますが、この日にはお正月の飾り物などを全て片付け終え、餅や正月料理を食べ尽くしたりする日とされています。

また、沖縄ではお仏壇や台所の火の神様へお供え物をし、お祝い納めをする日とされています。

琉球王国時代には、「ジュリ馬(じゅりうま)」とよばれる馬型をつけた女性たちの踊り行列が那覇の町を練り歩きました

初日の出(はつひので)

初日の出は「1月1日の日の出」のことで、文化的にも精神的にも深い意味を持ち、とても大切にされている日本の文化です。

古くから、日の出と共に歳神さまが現れると言われていて、縁起が良いとされていました。

直接日の出を拝むことで、その年の豊作や幸せを祈る意味があります。

初詣(はつもうで)

初詣(はつもうで)とは、その年初めて神社やお寺に参拝し、新年の無病息災や平安無事などを祈願する風習です。

旧年の感謝を伝え、迎える新年が良い年になるよう願掛けをする目的で行われます。

初詣では、神様に感謝を捧げたり、絵馬に願いを書いたり、お守りを買ったりすることもあります。

初詣は元旦早朝から行われることが一般的ですが、混雑を避けてゆっくりお参りしたい場合は、松の内を過ぎた1月下旬〜2月初めの参拝がおすすめです。

また、初詣の回数に決まりはないので、何回行っても構いません。2回以上行く方も多くいます。

初夢(はつゆめ)

初夢とは、新年を迎えてから初めて見る夢のことです。

元日から2日にかけて見た夢とする説が一般的ですが、大晦日から元日にかけて見る夢や、2日から3日にかけて見る夢とする説もあります。

初夢は、その年の吉兆を占うとされており、印象に残ったり気になったりする夢を初夢として1年を占うのが良いとされています。

縁起の良い夢として知られているのは「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」で、富士は「無事」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という言葉にかけられています。

また、扇、煙草、座頭、朝日や太陽の夢、ヘビ、太ってしまう夢なども縁起の良い初夢として江戸時代から語り継がれています。

逆に「ケンカする」夢を見た人は、悩みや不安が解消する兆しアリとされ、典型的な逆夢でハッピーな状態になれることを伝える夢とも言われています。

初夢の定義についてしっかりとした決まりはないため、夢を見る見ないもある場合は「新年を迎えてから初めてみた夢」を初夢としても問題ないという見方も出てきています。

羽根つき(はねつき)

羽根つきは、お正月に羽子板を使って行われる遊びで、羽根には「胡鬼子(こぎこ)」と呼ばれる実が使われます。

胡鬼子は山地に生える低木「ツクバネ」の実で、4枚のプロペラのような形をした苞(ほう)があり、羽根つきに使う羽根そのものに似ています。

また、ムクロジという植物の実が使われることもあり、ムクロジは「無患子」と書きます。

そのため、羽根つきには1年の厄をはね、子供の成長の無事を願うという意味があります。

破魔矢(はまや)

破魔矢(はまや)は、魔除けや家内安全を願う縁起物で、「魔を破る」と書きます。

神社やお寺で授かることができ、正月に飾るのが一般的です。

矢の持つ「射る」という意味から、チャンスを射止めることにもご利益があると言われています。

破魔矢の由来は、古くから正月に行われていた年占いの「射礼(じゃらい)」にあるといわれています。

地区ごとに弓射を競い、勝った地区はその年豊作に恵まれるという占いで、射礼に使われる的を「ハマ」と呼んでいました。

矢を「ハマヤ」、弓を「ハマユミ」といい、破魔矢の「ハマヤ」という呼び名はここからきています。

江戸時代以降、男児の初正月や初節句に装飾を施した弓と矢が贈られるようになりました。

その後、破魔弓が簡略化されて矢だけが魔除けとして神社で授与されるようになり、家庭や職場の邪気を祓い、災いを取り除き福を招き入れるお守りとして使われるようになりました。

福笑い(ふくわらい)

顔の輪郭を描いた紙の上に、目や鼻、口などの顔のパーツを目隠しをして並べていくお正月の遊びです。

福笑いがお正月の遊びとして定着したのは明治時代のころだそうです。

「笑う門には福来る」ということわざがあるように、福笑いで出来上がった顔でみんなが笑顔になれるため、新年の幸せを願って遊ばれるようになりました

今ではいろいろな顔の福笑いがありますが、もともとのベースは「おかめ」と「ひょっとこ」を使用するそうです。

おかめは「福を招く神様」で、「おかめ(お亀)」ということから、名前に長寿のシンボルである「亀」の字をあてています。

また、「おたふく(お多福)」ともいわれ、縁起が良いとされています。

ひょっとこは、かまどに火を竹で吹く「火男(ひおとこ)」がなまってつけられました。

かまどの火をつかさどる「火を守る神様」、または「かまどの神様」と考えられ、こちらも縁起が良いとされています。

松の内(まつのうち)

関東では1月1日~1月7日、関西では1月1日~1月15日までを「松の内」と呼び、お正月とされています。

江戸時代の初めまでは、全国的に1月15日までを「松の内」としていました。

しかし、1651年4月20日(旧暦)に三代将軍徳川家光が亡くなって20日が忌日となるため、これを避けた日となっています。

「松の内」が過ぎるとお正月飾りを外して、仕事始めとなります。

餅(もち)

言わずもがなですが…、もち米を蒸して、木槌でついて作ったものです。

お正月にお餅を食べるようになったのは、平安時代の宮中で行われた「歯固めの義」に由来するそうです。

「歯固めの義」は、お正月に固いものを食べることで歯を強くし、健康や長寿を願う行事です。

もともと硬い鏡餅を食べていたそうで、その名残でお正月にお餅をたべるようになりました。

ちなみに日本の文化として、生きていくために「稲作」が重要であり。「米」は神聖な食べ物とされてきました。

それをついて固めたお餅は、さらにパワーが凝縮されていると言われていたそうです。

譲り葉(ゆずりは)

ユズリハは、正月飾りに使われる植物で、葉が代替わりするように生え変わる植物です。

新しい葉が開くと古い葉が落ちるように成長していくことから、代々家が続いていくという意味で、子孫繁栄の祈りを込めた縁起物とされていますら

若水(わかみず)

元日の早朝に、その年初めて汲んだ水のことです。

その起源は平安時代で、立春にその年の年神様が来る方角の井戸から水を汲んだ「若水」を用いることで、1年の厄がはらわれるとされていたことが始まりです。

その後、元日の朝に汲んだ水を「若水」とし、これ使うことで厄除けの効果があると言われています。

神様へのお供え物に用いたり、家族の食事に使ったり、お茶をたてたりすると良いとされました。

若水迎え(わかみずむかえ)

井戸などへ若水を汲みに行くことを「若水迎え」といいます。

これは年男の役目で、元旦のまだ暗いうちに起きて、新しい手桶とひしゃくを持って汲みにいきます。

途中で誰かに会うとよくないことが起きるとされていて、もし誰かに会っても無言のままでいなければいけないそうです。

若潮(わかしお)・若潮迎え(わかしおむかえ)

若水・若水迎えと同じような風習です。

主に西日本行われ、元日の早朝に年男によってくみ上げられた「海水」を、神様に供えます。

広島の厳島神社などで行われています。

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